江戸川病院スポーツ医学科(東京都江戸川区)|かつしか江戸川病院スポーツ医学科(東京都葛飾区)|メディカルプラザ市川駅スポーツ医学科(千葉県市川市)

概要

 喘息は気道の慢性炎症性疾患であり,ウイルス感染・喫煙・ストレス・低温など,様々な刺激に対する気道の過敏性が関与して起こると考えられています.その中でも,運動によって気道狭窄が誘発されるケースを,“運動誘発性喘息Exercise-induced asthma: EIA)”もしくは“運動誘発性気道攣縮(Exercise- induced bronchoconstriction: EIB)”と呼びます.
 喘息発作時には,呼吸困難感や息切れ,喘鳴などが生じるため,EIA/EIBを有するアスリートでは,激しい練習や試合において,パフォーマンスの低下がみられますが,喘息であるという自覚がない“隠れ喘息”の選手も意外と多いことが知られています(実際に,冬季バンクーバーオリンピック日本代表選手における喘息の有病率は12.9%と高率であったことが報告されています).
 

検査

 一般的な喘息の診断のためには,肺機能検査(スパイロメトリー)・胸部レントゲン・血液検査・気道過敏性試験などが有用ですが,運動時にのみ喘息症状を認める場合にはEIA/EIBを疑って,運動誘発試験を行い診断することも可能です.
 

治療・予防

 喘息の主な治療薬は,気管支拡張薬(気道を広げる)と抗炎症薬(気道の炎症を抑える)です.それらは,発作予防のために日頃から使用する長時間作用型のものと,発作時に症状を改善するために一時的に使用する短時間作用型のものがあり,一般的には吸入型のものが多いです.
 EIA/EIBは予防が重要であり,運動前にウォーミングアップを行う,極端に気温や湿度が低い環境での運動を避ける,マスクを使用するなどの対策法があります.また,運動開始前に短時間作用型の気管支拡張薬の吸入を予防的に行う方法もあります.
 
 
 

参考文献
1. Louis‑Philippe Boulet et al. Asthma and Exercise-Induced Bronchoconstriction in Athletes. N Engl J Med 2015; 372: 641-648.
2. 土肥美智子ほか. バンクーバーオリンピック代表選手(候補選手を含む)における喘息について.日本臨床スポーツ医学会誌 2010; 18: S113.
3. 藤本繁夫ほか. 運動誘発性喘息とその対策-特にアスリート喘息を中心に- 日本臨床スポーツ医学会誌 2011; 19: 179-183